日本の裁判制度についてお伝えします。
今回は思考法というよりも、知識の話になります。
法律や裁判はロジカルです。
知っておくことで、日常の議論や、
ビジネスにも活かすことができます。
さて、まず、
意外とちゃんと知らない方も多いのですが、
日本の裁判は大きく分けて、
刑事と民事の2つがあります。
ざっくり、
- 刑事裁判=あなたは〇〇という犯罪を犯したから、懲役〇年
- 民事裁判=AさんはBさんに、借りた金返してないから返しなさい
っていうイメージです。
刑事はあくまで国との関係で、犯罪になるかならないかの話。
民事はあくまで当事者同士の問題の解決であって、
犯罪云々とは関係ありません。
SNSのコメントとか見てると、
刑事と民事の区別がついていない人も多そうなので、
改めて解説しました。
さて、刑事裁判というのは、真実を明らかにする場です。
その人が、本当に犯罪をしたのかどうか?
真実を明らかにしなければなりません。
冤罪は許されないという価値観です。
一方、民事裁判は、
あくまでも私人間の紛争解決の手段です。
「お金を借した」「いや借りていない」などの、
AさんとBさんの間で起きた
揉め事を収めるための手段です。
ここでのポイントは、
「民事は必ずしも真実である必要はない」
ということです。
どういうことかと言うと、例えば、
Aさんが、Bさんに対して「貸した100万円を返せ」と、
訴訟を起こしているとします。
その際に、
Aさんが「100万円を貸した」ことに対して、
Bさんも「確かに100万円借りた」と言っているとします。
つまり、お互いが同意しています。
でも、実際には、
Bさんは「100万円借りていない」かもしれません。
Bさん自身が借りたと言っていても、
真実はそうでないかもしれません。
ですが、双方が同意している以上、
裁判所はそれで進めないとならないのです。
「あなたたちは100万の貸し借りがあったというけど、
本当かどうか怪しいから、証拠を出せ」
と、裁判所は言うことができません。
双方が同意していれば、
真実でなくても裁判所はそのとおりに判断する、
ということです。
もちろん、国が「ウソ」を推進しているというわけではありません。
ですが、
民事訴訟はそもそも紛争解決の手段なので、
2人が争っていない部分については、
国が介入する必要はないのです。
民事訴訟の考え方は、
日常の議論や争いの解決の際にも使えますので、
是非覚えておいてください。
民事訴訟については「民事訴訟の「争点整理」」でも、
より詳しくお伝えします。